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賃貸契約前に確認すべき注意点10|営業が内側から教える急所

賃貸の契約書と重要事項説明を、全部理解して署名している人はほとんどいません。でも、実際にトラブルになる箇所は毎回だいたい同じです。

先に内側の話をひとつ書きます。見積もりに並んでいる消毒施工や安心サポートは、大家さんとは関係なく、仲介会社や管理会社が紹介料を得るために載せていることがあります。「大家さんの意向だから外せない」とは限らない費目だということです。

私は売買がメインの現役不動産営業(6年半)です。契約書まわりの揉めごとがどこで起きるかは、業界の内側にいるとよく見えます。

この記事では、あとで効いてくる急所だけを10個に絞ります。契約前の30分で確認できる範囲です。読み終えると、契約書のどこを開いて何を聞けばいいかが分かります。

目次

お金に直結する急所(1〜5)

①解約予告の期限(1ヶ月前か2ヶ月前か)

退去時に一番効いてくる条項です。2ヶ月前予告の物件を知らずに借りると、引越しのとき実質1ヶ月分余計に払うことになります。あわせて「退去月は日割りか月割りか」も確認を(詳しくは退去の流れで解説しています)。

ただ、正直に書いておきます。私が見てきた範囲では、退去月を日割りにしない契約しか見たことがありません。日割りしてもらえる前提で予定を組まず、退去日は月末に寄せて考えるほうが安全です。

②原状回復・クリーニングの特約

「退去時ハウスクリーニング費用◯円は借主負担」「畳・襖の交換は借主負担」といった特約は、金額と対象が具体的に書かれているかを見てください。金額の記載がない・相場からかけ離れている特約は、その場で質問して構いません。原則のルールは原状回復ガイドラインの読み方にまとめています。

③更新料と更新事務手数料

「更新料:新賃料の1ヶ月分」だけでなく、管理会社に払う「更新事務手数料」が別に設定されていることがあります。2年総額で物件を比較するのが正解です(更新料の相場参照)。

④初期費用の「任意項目」

見積もりの中の消毒施工・安心サポート・書類作成費などは、必須ではない場合があります。「これは外せますか」と確認するのは正当な質問です(仲介手数料の記事で詳述)。

内側の話を書きます。この手の項目は、大家さんとは関係なく、仲介会社や管理会社が紹介料を得るために載せている可能性があります。つまり「大家さんの意向だから外せない」とは限らない費目です。遠慮なく聞いてください。

⑤違約金条項(短期解約・フリーレント)

「1年未満の解約は賃料1ヶ月分」などの短期解約違約金は珍しくありません。フリーレント付き物件は、ほぼ必ず「◯ヶ月以内の解約で無料分を返還」という条件とセットです。転勤や進路変更の可能性がある人は、ここを必ず見てください。

住み心地と退去時に効く急所(6〜10)

⑥契約の種類(普通借家か定期借家か)

定期借家契約は、期間満了で契約が終了し、更新という概念がありません(再契約は貸主の判断)。家賃が相場より安い物件に多い形式ですが、長く住みたい人には根本的に不向きです。契約書の頭にどちらか書いてあるので、最初に確認を。

⑦禁止事項(ペット・楽器・同居・民泊・事務所利用)

「バレなければいい」は通用しません。契約違反は退去請求や違約金の根拠になります。将来の同棲・在宅開業の予定が少しでもあるなら、契約前に可否を確認しておくべき項目です。

とくにペット飼育と事務所利用は要注意です。私の印象では、個人オーナーの物件ほど、この2つの条件は厳しい傾向があります。大手管理の物件で通ったから次も通る、とは考えないでください。

⑧設備か残置物か

エアコン・照明・ウォシュレットが「設備」なら故障時は貸主負担で修理、「残置物(前入居者が置いていったもの)」なら壊れても貸主に修理義務がありません。重要事項説明書のどちらに分類されているか、地味ですが実務では揉めやすいポイントです。

ここは私の予想ですが、これからエアコンを「残置物」にするオーナーは増えるかもしれません。2027年4月から家庭用エアコンの省エネ基準が変わり、基準を満たさない低価格帯のモデルが作れなくなるため、本体価格が上がると見られているからです。設備として持てば、壊れるたびに高くなった機種を貸主が買い替えることになります。

エアコンが残置物扱いの部屋は、真夏に壊れても自腹で買い替えることになります。入居前に必ず確認してください。

⑨入居時の現況確認書と写真

契約・入居時に渡される現況確認シートは、退去精算のときの自分を守る最重要書類です。入居直後に部屋中を撮影し、傷・汚れをシートに書いて提出、控えを保管。この30分が2年後の数万円を守ります(敷金の記事参照)。

最近は、管理会社のアプリを入居時にインストールさせられ、そのアプリ上で部屋の現況を撮影・記録するシステムも増えています。記録が残る点は借主にとって悪い話ではありません。ただ、そのアプリの利用料を必須の費用として徴収する仕組みになっているものがあり、そこは正直えげつないと思っています。契約前に、その費用が必須なのか任意なのかは確認してください。

⑩火災保険の指定

「指定の保険に必ず加入」とされていることがありますが、必要な補償(借家人賠償責任等)を満たせば自分で選べるケースも多くあります。保険料の差は2年で数千円〜1万円以上になることも。詳しくは賃貸の火災保険は自分で選べるへ。

気になることは気兼ねなく質問しよう

「細かく質問したら心証が悪くなって審査に落ちるのでは」と心配する人がいますが、契約内容の確認と、無理な値切りはまったく別物です。条項の意味を確認する借主を嫌がる業者はまともではありませんし、宅建士には重要事項を説明する義務があります。遠慮する場面ではありません。

逆に、営業側から見て困るのは「読まずにサインして、退去時に『聞いていない』と揉める」パターンです。お互いのために、上の10項目だけは契約前に潰しておいてください。

まとめ

  • お金の急所は、解約予告・特約・更新料・任意費用・違約金の5つ
  • 住み心地の急所は、契約種類・禁止事項・設備区分・現況確認・火災保険の5つ
  • 質問は正当な権利。読まずにサインが一番高くつく

【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。契約条項の有効性は個別の内容・事情により判断が異なります。不明点は契約前に宅建士へ、トラブルは消費生活センター等にご相談ください。

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この記事を書いた人

売買がメインの現役不動産営業(6年半)・FP3級。査定の現場で「売れません」と伝える側の人間。空き家・相続・退去トラブルの相談を受ける日々の中で見えた「本当のところ」を、忖度なしで書くために匿名で運営しています。

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