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退去掃除はどこまでやるべき?費用に効く場所を不動産営業が解説

退去日が近づくと悩むのが「掃除、どこまでやればいいのか」問題です。ピカピカに磨き上げるべきなのか、どうせクリーニングが入るなら適当でいいのか。

私は売買がメインの現役不動産営業(6年半)です。業界の内側の実情を踏まえて、先に結論を言います。「新品同様の掃除」は不要。ただし「手入れを怠っていた」と判定されないための掃除は、費用に直結するのでやる価値があります。

目次

前提:多くの場合、クリーニング代は掃除しても請求される

身も蓋もない話から始めます。賃貸借契約の多くには「退去時のハウスクリーニング費用は借主負担」という特約が付いていて、有効と扱われることが多いのが実情です。この場合、どれだけ完璧に掃除してもクリーニング代そのものは請求されます。

以前、賃貸のご契約のときに、お客様から「出ていくときに自分でピカピカにしていくから、クリーニング代を無しにできない?」と聞かれたことがあります。答えはダメでした。クリーニングは大家さん指定の業者で行う前提になっているので、借主がどれだけ掃除上手でも外せないのです。

「じゃあ掃除は無駄か」というと、違います。掃除が効くのはクリーニング代ではなく、その先の「原状回復費用」の判定です。

掃除が退去費用に効く仕組み

国交省の原状回復ガイドラインでは、通常の使用による汚れは貸主負担ですが、「手入れを怠った結果、拡大した汚損」は借主負担とされています。例を挙げると:

  • キッチンの油汚れ:普通に使って付いた分は通常損耗。ただし放置して固着したスス・油は「掃除を怠った」側に判定されやすいです
  • 風呂・トイレの水垢やカビ:日常の手入れの範囲なら通常損耗。こびりついた水垢・黒カビは借主負担と判定されやすいです
  • 結露由来のカビ:拭き取りで防げたのに放置して壁まで傷めたら借主負担側です

つまり退去掃除の目的は、部屋を新品にすることではなく、「この汚れは放置によるものではない」という状態を作って立ち会いを迎えることです。ここが「どこまでやるか」の答えになります。

優先度つき:やるべき掃除リスト

優先度A(費用判定に直結。時間がなければここだけ)

  • キッチンの油汚れ・五徳・換気扇:中性〜アルカリ性洗剤で落ちる範囲を落とす
  • 浴室のカビ・水垢:カビ取り剤で落ちる黒カビは落とす。ゴムパッキンの奥まで完璧にする必要はありません
  • トイレの黄ばみ・水垢
  • 結露しやすい窓まわり・サッシのカビ
  • タバコを吸っていた場合の拭き掃除:ヤニは借主負担の代表格です。拭いて落ちる範囲は落としておく

優先度B(印象と「言われにくさ」に効く)

  • 床の掃除機がけ・拭き掃除
  • ベランダの掃き掃除・排水口のゴミ取り
  • 収納内のホコリ・郵便受けまわり

やらなくていいこと

  • ワックスがけ・畳の表替え・プロ級の磨き上げ。次の入居者向けの原状回復は貸主側の領分です
  • 壁紙の補修・穴埋めなどの素人DIY修繕。かえって「補修痕」として指摘されるリスクがあります。傷は傷のまま立ち会いで確認してもらうほうが安全です
  • ハウスクリーニング業者を自腹で入れること。特約でクリーニング代を払うなら二重払いです。契約書を確認してから判断してください

掃除とあわせてやっておくこと

  • 荷物の完全撤去。残置物は撤去費用を請求されます。「いらない家具を置いていく」は基本NGです(合意があれば別)
  • 掃除後の写真撮影。各部屋・水回りを日付付きで撮っておくと、立ち会い後の後付け請求への備えになります(立ち会いの注意点参照)
  • 冷蔵庫の霜取り・洗濯機の水抜き。退去日当日の水漏れ事故は、最後の最後に借主負担の損傷を作ります

まとめ

  • クリーニング特約があれば、掃除してもクリーニング代は請求される。目指すのは新品ではない
  • 掃除の目的は「手入れを怠った」判定を避けること。水回りの固着汚れ・カビ・油・ヤニが最優先
  • DIY補修と自腹クリーニングはやらない。荷物ゼロ+写真記録で立ち会いへ
  • 費用の基準は原状回復ガイドラインの読み方、精算に納得できないときは敷金の記事へ

【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。費用負担は契約内容・特約の有効性・損耗の状況により異なります。個別のトラブルは消費生活センター等にご相談ください。

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この記事を書いた人

売買がメインの現役不動産営業(6年半)・FP3級。査定の現場で「売れません」と伝える側の人間。空き家・相続・退去トラブルの相談を受ける日々の中で見えた「本当のところ」を、忖度なしで書くために匿名で運営しています。

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