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不動産の査定額が高すぎる会社に注意|高値のカラクリを営業が解説

「3社に査定を頼んだら、1社だけ500万円高い数字を出してきた。嬉しい。でも、この数字を信じていいのか」。売却相談の現場で、本当によくある場面です。

先に、この記事で一番大事なことを書きます。査定額を見たら、金額より先に根拠を聞いてください。私たち不動産業者には、本来、査定額の根拠を示す義務があります。ここで「私の感覚です」という答えが返ってきたら、その数字がどれだけ高くても信用できません。

私は売買がメインの現役不動産営業(6年半)で、査定額を提示する側の人間です。適正な価格を言って、高い査定を出した他社に依頼を持っていかれたこともあります。それでも高い数字には裏があると言い切れるのは、出す側の事情を知っているからです。

この記事では、1社だけ高い査定が生まれる仕組み、高すぎる価格で売り出すと実際に何が起きるか、そして見抜き方の3つを、出す側の立場から正直に書きます。

目次

大前提:査定額は「売れる保証額」ではない

最初に一番大事な誤解を解いておきます。査定額とは、「この価格なら売れると当社は考えます」という提案・意見の数字であって、その金額での売却を保証するものではありません。査定額で売れなくても、不動産会社は何の責任も負いません。

だから、同じ家でも会社によって数百万円の差が出ることは普通にあります。問題は、その差が「見立ての違い」なのか、「別の事情」なのか、です。

ひとつ知っておいてほしいのは、本来、私たち不動産業者は査定額の根拠を示す義務があるということです(宅建業法で、価額に意見を述べるときは根拠を明らかにするよう定められています)。だから、査定額を見たらまず根拠を聞いてください。ここで「私の感覚です」という答えが返ってきたら、その数字はもう信用できません。

高値査定のカラクリ:なぜ1社だけ高いのか

ここが業界の内側の話です。不動産会社は、売却の依頼(媒介契約)を取り合っています。余談ですが、昔は査定に行って媒介を取れずに帰ると、店舗でローキックが飛んでくる程度には当たり前の世界でした。それくらい媒介は至上命令です。そして売主の多くは、一番高い査定額を出した会社に依頼したくなる。つまり、高い数字を出せば依頼が取れやすい構造があります。

しかも前述のとおり、査定額はただの提案なので、高く言うこと自体にペナルティはありません。依頼を取ってから「反響がないので値下げしましょう」と言えばいい。高い査定を出す誘惑は、査定する側なら誰でも知っています。全ての会社がやっているとは言いません。ただ、1社だけ飛び抜けて高い数字が出たときは、まずこの構造を思い出してください。

高すぎる価格で売り出すと何が起きるか

「高く出して、ダメなら下げればいい」と思うかもしれません。実務では、これが一番高くつくパターンになりがちです。

  1. 反響が来ない。相場より高い物件は、ポータルサイトの検索条件の時点で比較に負けます
  2. 小刻みな値下げを繰り返す。ポータルに張り付いている買主は値下げの履歴を見ています。「まだ下がる」と思われたら、問い合わせは来ません。値下げするなら大胆に、が鉄則です。逆に、販売価格が相場にバッチリ合っていれば、出してすぐ問い合わせの反響があります。反響のなさは「相場からズレている」というサインです
  3. 「売れ残り」として認知される。掲載期間が長い物件は、内容より先に「何かあるのでは」と警戒されます。最終的に相場以下でしか売れないことも珍しくありません

失うのはお金だけではなく時間です。空き家を売っているなら、売れない期間の税金と管理費も積み上がります。

高すぎる査定の見抜き方3つ

① 根拠(成約事例)を出させる

不動産会社は、レインズ(業者間の取引データベース)で近隣の実際に売れた価格を見られます。「この査定額の根拠になった成約事例を見せてください」と頼んでください。事例と自宅の条件差の説明に筋が通っているかで、数字の信頼度が分かります。売り出し中の価格(成約していない希望価格)だけを根拠にする説明は弱いです。

② 質問を変える:「3ヶ月で売るならいくらですか」

「いくらで売れますか」と聞くと、営業は高めの数字を答えたくなります。「3ヶ月で売り切るなら、いくらで出しますか」と聞いてみてください。期限を切られると、営業は本音の相場観を答えざるを得ません。この2つの数字の差が大きい会社ほど、最初の査定に営業的な上乗せが入っています。

③ 複数社の中央値で見る(最高値を選ばない)

3社以上に査定を頼み、真ん中の数字を相場の目安にしてください。一番高い数字は「相場」ではなく「一番強気な提案」です。1社だけ大きく高い場合、それは歩み寄りではなく警戒のサインとして扱うのが実務の感覚です。

それでも高めで出したい時の現実解

思い入れのある家を少しでも高く売りたい気持ちは自然です。チャレンジ価格で出すこと自体は否定しません。ただし、出すなら撤退ラインを先に決めてください。「◯週間で反響が◯件なければ、◯◯万円に下げる」を、売り出す前に担当者と書面ベースで握っておく。これができていれば、高値スタートのダメージは最小で済みます。

逆に言うと、この撤退ラインの話を営業の側から先にしてくれるかどうかは、誠実な担当者を見分けるポイントでもあります。

私自身の話をすると、最初から適正価格を提示して、媒介を高値査定の他社に持っていかれたことがあります。ただその後、「あなたの言っていたことが正しかった」と、あらためて売却をご依頼いただきました。適正な数字は、その時は損に見えても最後に信頼として返ってきます。売主側から見れば、耳の痛い数字を最初に言う会社ほど信用できるということです。

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まとめ

  • 査定額は保証額ではなく提案額。高く言うことにペナルティはない
  • 1社だけ高い時は、媒介契約を取るための上乗せをまず疑う
  • 見抜き方は、成約事例を出させる・「3ヶ月なら」と聞く・中央値で見る
  • 高めで出すなら撤退ラインを先に決める。その提案をくれる営業は信頼できる

「売れない」と言われた土地の話は売れない土地の処分方法で、売れない空き家の出口は空き家の引き取り・買取サービスで解説しています。


【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の取引や会社を評価するものではありません。査定・売却の判断は物件の個別条件により異なります。具体的な売却は複数の不動産会社・専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

売買がメインの現役不動産営業(6年半)・FP3級。査定の現場で「売れません」と伝える側の人間。空き家・相続・退去トラブルの相談を受ける日々の中で見えた「本当のところ」を、忖度なしで書くために匿名で運営しています。

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