今の賃貸契約では、大半の物件で「家賃保証会社への加入」が必須条件になっています。保証料を払うのは借主なのに、その中身はほとんど説明されない。そんな存在です。
先に、この記事で一番伝えたいことを書きます。保証会社の審査に落ちても、それは「どこでも借りられない」という意味ではありません。保証会社は3つの系統に分かれていて、系統が違えば見ているデータそのものが違うからです。業界の内側では常識ですが、一般にはほとんど知られていません。
私は売買がメインの現役不動産営業(6年半)です。賃貸の審査担当ではありませんが、どの系統の保証会社が付いている物件かで結果が変わる場面は何度も見てきました。
この記事では、3系統の違いと審査で見られる項目、そして落ちたときに次にどう動けばいいかを書きます。読み終えると、自分がどの系統を避けるべきかが分かります。
保証会社とは:連帯保証人の「会社版」
家賃保証会社は、借主が家賃を払えなかったときに立て替えて貸主に払う(代位弁済)会社です。昔の連帯保証人の役割を、親族に頼む代わりにお金で買う仕組みと考えると分かりやすいです。
立て替えてもらった家賃は、当然ながら免除されるわけではなく、保証会社から借主に請求されます。取り立てる力の強い相手に債権が移るだけなので、「保証会社があるから滞納しても平気」は完全な誤解です。
保証料の相場
- 初回保証料:家賃0.5〜1ヶ月分(総賃料の30〜100%)が中心帯
- 更新保証料:年1万円前後、または賃料の10〜30%/年のパターンが多い
- 最近は毎月更新で月額800〜1,000円というプランも増えています。年1回まとめて請求されるより負担感は軽く見えますが、2年で2万円前後になるので総額は変わりません
物件によって指定の保証会社が決まっているため、借主側が自由に選べないのが実情です。ただし複数社から選べる物件もあるので、初期費用を抑えたいときは聞いてみる価値があります。
審査の中身:3系統で「見ているデータ」が違う
ここがこの記事の核心です。保証会社は大きく3系統に分かれ、参照できる情報がまったく違います。
| 系統 | 参照する主な情報 | 審査の傾向 |
|---|---|---|
| 信販系(クレジットカード会社系) | 信用情報機関(CIC等)の情報=クレカ・ローン・スマホ分割の履歴 | 最も厳しい。金融事故があるとほぼ通らない |
| LICC系(全国賃貸保証業協会の加盟社) | 協会で共有される家賃の代位弁済履歴 | 過去の家賃滞納・強制解約歴が見える |
| 独立系 | 自社データ+申込内容 | 相対的に柔軟。過去より現在の支払い能力を重視 |
つまり、こういうことが起きます。
- クレカの延滞歴がある人 → 信販系では落ちるが、LICC系・独立系では見えないので通ることがある
- 過去に家賃滞納で代位弁済された人 → 独立系では通ることがあるが、LICC系では共有データに残っている
「審査に落ちた=どこでも借りられない」ではなく、系統を変えれば結果が変わりうる。これが業界の内側では常識ですが、一般にはほとんど知られていません。
審査で見られる項目と、落ちやすいパターン
系統を問わず共通して見られるのは次の項目です。
- 家賃と収入のバランス。「家賃は月収の3分の1以内」が定番の基準
- 雇用形態・勤続年数。安定性の評価。転職直後・試用期間は不利に働きがち
- 申込内容の整合性。在籍確認・収入証明との食い違いは致命傷
- 本人確認・連絡のつきやすさ。審査の電話に出ない、が意外な脱落理由の定番です。知らない番号からの着信に出る(か、すぐ折り返す)だけで通過率は上がります
落ちやすいパターンの詳細と対策は入居審査に落ちる理由7つにまとめているので、ここでは保証会社固有の注意点を続けます。
知っておきたい注意点3つ
①審査の電話(在籍確認)には準備を
勤務先への在籍確認が入る場合があります。会社名を名乗らず個人名でかけてくるのが普通なので、職場に「不動産関係の確認電話があるかも」と一言伝えておくとスムーズです。
②滞納すると動きが速い
保証会社は滞納の初期対応が仕事なので、督促は大家さんよりずっと事務的で速いです。支払いが厳しい月は、滞納する前に管理会社・保証会社に連絡して相談するのが鉄則です。黙って滞納すると、その履歴が次の部屋探しに響きます(LICC系の共有データは前述のとおりです)。
速さの実感を具体的に書いておきます。滞納すると即日か翌日には連絡が来ます。そして、その連絡に対応しないと、すぐに連帯保証人(緊急連絡先)へ連絡が行くことがあります。親や親族に一気に話が飛ぶということです。
大家さんへの滞納なら「来週まで待ってもらえませんか」が通る場面もありますが、保証会社は事務処理として動きます。連絡が来たその日のうちに折り返す。ここは危機感を持って対応してください。
③保証会社の「更新料」の払い忘れ
年1回の更新保証料は請求書払いのことが多く、払い忘れが起きやすい費目です。放置すると保証契約の債務不履行となり、物件の契約にも影響しうるので、届いたら早めに処理してください。
ここを軽く見ないでほしい理由があります。今の賃貸契約は、特約で「家賃保証と火災保険への加入を続けること」自体が契約の条件になっていることが多いからです。つまり保証料の払い忘れは、単なる払い忘れではなく賃貸借契約の条件を満たさなくなった状態を意味します。届いたら早めに処理してください。
審査に不安がある人の動き方
- 仲介の営業に事情を正直に話す。「クレカの延滞歴がある」と伝えれば、営業は信販系を避けた物件を提案できます。これが最短ルートです
- 家賃を月収の4分の1程度まで下げる。収入面の懸念を先に潰す
- 書類を先に揃える。収入証明、フリーランスなら確定申告書数期分
- それでも難しければ。連帯保証人併用可の物件、UR賃貸(保証会社不要・収入要件あり)なども選択肢です
まとめ
- 保証会社は「連帯保証人の会社版」。滞納すれば立て替え分は請求される
- 信販系・LICC系・独立系で参照データが違う。落ちても系統を変えれば通ることがある
- 審査の電話に出る・書類を揃える・事情は営業に先に話す、が通過の三原則
- 入居審査全体の話は入居審査に落ちる理由、契約時の確認は賃貸契約の注意点へ
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、各社の審査基準は非公開です。記載は業界の一般的な傾向に基づくものであり、特定の審査結果を保証するものではありません。




