引越しが決まったら、今住んでいるお部屋の退去手続きが始まります。何から手をつければいいのか、荷造りの前で止まっている方に先に結論を書きます。退去で一番お金に響くのは、荷造りでも掃除でもなく「解約通知の期限」です。正しい順番は、新居の契約より先に今の部屋の契約書を開くこと。ここを逆にすると、住んでいない部屋の家賃を1ヶ月分余計に払うことになりかねません。
私は売買がメインの現役不動産営業(6年半)です。退去でお金が余計にかかる人は、だいたい同じ場所でつまずいています。
この記事では退去の流れを時系列で並べ、お金に響くポイントに印をつけていきます。読み終えると、1ヶ月前から退去日までに「いつ・何を・どの順で」やればいいかが分かります。
全体の流れ(時系列)
- 解約通知(退去の1〜2ヶ月前)
- 引越し・ライフラインの手配(3週間前〜)
- 荷物の搬出と掃除(前日まで)
- 退去立ち会い・鍵の返却(退去日)
- 敷金の精算(退去後1〜2ヶ月)
ステップ1:解約通知。ここが一番お金に響く
最初にやるのは、管理会社・大家への解約通知です。ここで重要なのが予告期限。多くの契約は「解約は1ヶ月前までに通知」ですが、2ヶ月前予告の契約も普通にあります。
予告が遅れると、住んでいなくても予告期間分の家賃が発生します。たとえば2ヶ月前予告の物件で1ヶ月前に通知すると、退去後1ヶ月分の家賃を余分に払うことになります。新居を契約する前に、今の部屋の契約書で予告期限を確認する。これが退去で一番大事な段取りです。
- 通知方法も契約書で確認(書面指定・専用フォーム・電話など)。口頭のみは避けて記録を残す
- 退去月の家賃が日割りになるか月割りかも契約次第。ここも契約書で確認
- 解約通知書に退去日(立ち会い希望日)を書く。引越し日より後ろに余裕を持たせると掃除の時間が取れます
ステップ2:引越しとライフラインの手配(3週間前〜)
- 引越し業者の手配。繁忙期(1〜3月)は予約も料金も跳ね上がるので早めに。相見積もりが基本です。日程を選べるなら、土日を避けて平日にすると安くなりやすいです
- 電気・ガス・水道。停止日を退去日に合わせて連絡。ガスの閉栓は立ち会いが必要な場合があります
- インターネット。解約か移転か。撤去工事が必要な回線は日程が埋まりやすいので早めに。新居側も油断できません。最近は開通工事が2ヶ月待ちということも当たり前にあります。ネットが使えない期間が発生しそうなら、スマホのテザリングやモバイルWi-Fiのレンタルなど、つなぎの手段を先に考えておくと慌てずに済みます
- 住所変更系。転出届(マイナンバーカードがあればオンラインの特例転出も可)、郵便の転送届(無料・1年間)、銀行・カード・保険など
- 火災保険。今の部屋の保険は解約すると未経過分の保険料が戻ることがあります。忘れやすい返金ポイントです。新居の保険は自分で選べるのが原則(賃貸の火災保険は自分で選べる参照)
ステップ3:荷物の搬出と掃除(前日まで)
立ち会いまでに荷物は完全にゼロにします。残置物は撤去費用の請求対象です。掃除は新品を目指す必要はなく、「手入れを怠った」と判定されないラインが目標です。優先順位は退去掃除はどこまでやるべきかで解説しています。
最後に、各部屋・水回りを日付付きで撮影しておきます。精算で揉めたときの証拠になります。
ステップ4:退去立ち会い・鍵の返却(退去日)
管理会社の担当者と部屋の状態を確認し、鍵(スペアキー含む全部)を返します。当日の最大の注意点は、修繕費の負担合意を含む書面にその場でサインしないこと。詳しくは退去立ち会いの流れと注意点にまとめています。
ステップ5:敷金の精算(退去後1〜2ヶ月)
後日、精算書が届きます。見るポイントは3つです。
- 内訳が項目別に書かれているか(一式表記なら明細を請求)
- 経年劣化・通常損耗が借主負担にされていないか(ガイドラインの読み方)
- 経過年数の考慮が入っているか(6年ルールの記事)
納得できない請求への対処は敷金が返ってこないときに確認する3つのことへ。
抜けやすいポイントのチェックリスト
- 契約書の解約予告期限(1ヶ月か2ヶ月か)を新居契約前に確認したか
- 退去月の家賃が日割りか月割りか確認したか
- 火災保険の解約(返金)を忘れていないか
- 駐輪場・駐車場・トランクルームなど付帯契約の解約を忘れていないか
- ガス閉栓の立ち会い要否を確認したか
- 鍵はスペアも含めて全部そろっているか
まとめ
- 退去で一番お金に響くのは解約予告の期限。契約書の確認が最初の一歩
- 流れは、通知→手配→搬出と掃除→立ち会い→精算。各段階の詳しい注意点は個別記事へ
- 写真記録と「その場でサインしない」が、精算トラブルへの二大保険
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。手続きの期限・費用は契約内容により異なります。個別のトラブルは消費生活センター等にご相談ください。




